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劇団花吹雪が『ワン・ピースOne Piece』のパロディーを上演すると。。。

 市川猿之助が『スーパー歌舞伎 II ワンピース』と題して尾田栄一郎・作manga『ワンピース』を歌舞伎で上演すると知ったときは、冗談かなと思い、無理して若者受けすることないだろうにと不満に感じた。

 しかし生の舞台は未見ながら先月(2016年10月)と今月シネマ歌舞伎でこの歌舞伎版を見て当初の考えを改めざるをえなくなった。本来爆発的エネルギー、創造性を内に秘める歌舞伎の可能性を猿之助はみごとに引き出したと思う。さすがスーパー歌舞伎を創造した先代猿之助の後継者だけある。いや、現・当代猿之助は独自の道を着々と歩んでいる。主役ルフィーを演じた猿之助は世間的には若者世代ではないが、冒険心溢れる少年の熱き心を巧みに表現している。

 歌舞伎界の中でも未来志向の若手とベテラン出演者陣のなかでとりわけ注目すべきは猿之助と(故・十代目坂東三津五郎の長男)巳之助だ。(劇中で演じた3役のうち)ボン・クレー役で見せたはじけぶりは巳之助の秘めた才能をよく物語っている。今後の成長が楽しみだ。

 さてこの歌舞伎版は原作の再現ではない。猿之助は台詞回しをはじめ随所に歌舞伎特有の要素をふんだんにはめこんでいる。さらに歌舞伎役者がおのれの身にしみついた身体所作も舞台効果を盛り上げるのに大いに役立っている。この歌舞伎性が原作では露出していない物語の新たな側面を引き出している。原作のテーマは一応「冒険心と友情の絆」だろうが、歌舞伎版はストレートな賞賛ではない。たしかに今回の脚本と演出担当は横内謙介でありヒューマニズムが舞台の根底にはあるだろう。だが、猿之助たちが舞台に創造する世界は単純な人間讃歌にはならないはずだ。真っ正面からの人間讃歌に対してある種の異化効果というか<ずらし・はずし>をねらっているのではないか。おそらく原作もその大胆にデフォルメした絵柄から判断して表向きのテーマをずらし、はずす意図があるにちがいない。

 このような異化効果を生み出す点では歌舞伎外の出演者たちも自分たちの持ち味を生かして歌舞伎役者に見劣りしない(異化効果のある)演技を見せてくれた。かれらの健闘もたたえたい。

 前置きが長くなったが、ここから話題が花吹雪に転じる。歌舞伎版『ワンピース』の向うを張って大衆演劇、いやむしろ花吹雪版『ワンピース』を期待したい。本来大衆演劇大芝居の作品をその本質は保ちながらも制約された予算と小作り舞台に合わせてのいわば翻案して舞台にかけてきた。その伝統的強みを生かして『ワンピース』に挑戦してほしい。原作自体膨大な物語なのでその一部をうまく取り出して上演時間1時間ほどにもとまらないものだろうか。創作力と諧謔精神に溢れる二人座長春之丞・京之介なら可能だと信じたい。

 ちなみにキャスト陣のひとり中村隼人だが、私は以前から桜愛之助に似ていると思っている。本作ではルフィー率いる麦わら一味のコック(シェフ)であるサンジとオカマの革命戦士イナズマを演じる。おふたりの写真をご覧いただきたい。(google画像から無断転載。肖像権と著作権の侵害についてはご容赦ねがいたい。)

    桜愛之助

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    中村隼人

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