狂言『武悪』に見る人間関係の倫理

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【寄稿E】(4) 狂言『武悪』に見る人間関係の倫理 遠藤幸英 | 老成学研究所re-ageing.jp

2021年12月2日

「武」も「悪」も共に勇猛果敢さを表していた。

ことに<悪>は武士の存在が注目を集めるようになる平安末から鎌倉時代において善悪の対比でいう悪ではなく、死をも恐れない剛勇ぶりを意味したのだ。

だから 例えば 武士藤原景清平景清)は武人としての雄々しさを称賛して <悪七兵衛> という異名をとるほどであった。

中世にあっては <悪党>は 現代の意味とは大いに異なり、倫理的判断とは無関係に中央権力に反抗する強固な武装集団をさした。