「真夏の狂言大作戦2022」切れ味不十分では?

兵庫県立芸文センターで久しぶりに茂山狂言を見せてもらった。

会場は満員。

平均年齢が異様に高い。狂言が普及するには年齢層のバラツキが望ましいと思えるので今回の状況は歓迎すべきことなのかどうか・・・。

中・高校生あたりがもっと来ていればいいのに。でもワンコインでは入場できないしな〜。

 

開幕は茂山逸平さんの軽妙なおしゃべり。観客の気持ちをほぐし狂言の世界へ誘うガイド役。

最初の演目はオーソドックスに「棒縛」。日頃主人に奉仕する太郎・次郎冠者が悪智慧を働かせて悪戯に興じる。主従の逆転、反抗という政治的暗喩などとは無関係の次元で日頃溜め込んだ鬱憤を晴らそうと従者がガス抜きをしているのだろう。演者たちの手慣れた演技で笑いが巻き起こった。

休憩の後千之丞さんの手になる新作狂言が2本。ことに最後の狂言は現代の文化・社会現象をコミカルに炙りだしていて会場から笑いを誘っていた。劇中で<ウオッシュレット>を世界に広めて世界的有名企業となったTOTOだが、そのロゴを効果的に使っていた。千之丞さんがロゴをしるした便器の着ぐるみみたいなものをまとっていたのは笑えた。

 

ひとつになることがある。前年度の経験からか茂山一門が高齢者層を意識した観客受けを狙っているように思えた。案の定観客もそういう期待どおりに反応。

でも、私見だが、デイ・ケア・センターにおける慰問公演みたいだった。Cutting-edge Kyogenという謳い文句で狂言界のアバンガードを自称するわりにはユーモア、ギャグが穏やかすぎて笑いの切っ先が鈍いような気がする。

 

茂山一門も演芸の世界を生きているのだから「大衆演劇(旅回り芝居)」のことをご存知だろう。あまたある劇団の中で「都若丸」劇団がコメディーのセンスでは抜群の切れ味を見せる。当然集客力も高い。座長若丸が自ら脚本・演出を担当する。他愛もない笑いと言ってしまえばそれまでだが、笑いのセンスには脱帽だ。

 

是非一度茂山さんたちにも「都若丸」劇団の芝居に触れてほしい。劇団は京阪神ばかりでなく全国を旅して公演を打つので観劇はそう簡単じゃないかもしれない。せめてDVD

を通して笑いの出来栄えをのぞいてほしい。

メル○○などで中古を購入することもできる。