2016-01-01から1年間の記事一覧

ポール・クローデル作『繻子の靴』ー8時間耐えたのちの感動とさらなる展開への期待

2016年12月10日ー11日、京都芸術劇場 春秋座(京都市左京区北白川、京都造形芸術大学内) 『繻子の靴』(四日間にわたる物語を描く四幕物)はざっくりいうと道ならぬ恋に燃えた男女(既婚女性ドニャ・プルエーズと未婚の騎士ドン・ロドリッグ)の物語だ。だが…

劇団花吹雪が『ワン・ピースOne Piece』のパロディーを上演すると。。。

市川猿之助が『スーパー歌舞伎 II ワンピース』と題して尾田栄一郎・作manga『ワンピース』を歌舞伎で上演すると知ったときは、冗談かなと思い、無理して若者受けすることないだろうにと不満に感じた。 しかし生の舞台は未見ながら先月(2016年10月)と今月…

大衆演劇 ゲスト公演 その意義を問う

「劇団花吹雪」はその名称どおり公演内容が華やかでウィットに富んでいるのだと最近ようやく気づいた。関西公演があればぜひ観劇を重ねて応援したい思いでいっぱいである。 今月(2016年11月)はわたしにとって足場のいい京橋羅い舞座だ。8日の昼公演を見た…

野村万作85歳 ー 枯淡の芸

『万作萬斎狂言』兵庫県立芸文センター 2016年10月15日 野村万作「月見座頭」、野村萬斎「吹取(ふきとり)」 万作氏の現在のお姿を拝見したくて観劇。恥ずかしながらこれまで野村父子の生の舞台を見たことがなかった。 はるか昔のこと、TVで万作演じる「釣…

演劇集団「大川興業」による<暗闇演劇>

劇団第40回本公演ーThe Light of Darkness 作・演出:大川 豊(大川興業 総裁) 2016年10月8日ー10日、神戸アートビレッジ(神戸市兵庫区新開地)

浪花劇団「蛇々丸」は孤高の人

かつては「浪花劇団」という旅役者の正統派の伝統を継承する劇団で四人の若手(現在は三人)がどう成長するか、それが楽しみで応援していた。しかし新之助座長の「自己中」ぶりに辟易して観劇しなくなった。そんな次第でベテラン役者蛇々丸と浪花めだかの芸…

たつみ演劇BOXーようやく舞台復帰した愛飢男さん

でも若手女優のあいも変わらぬキンキン声で萎えた! たつみ演劇BOX 2016年10月4日、神戸新開地劇場 久しぶりに見たたつみ、ダイヤ両座長は業界トップクラスの芸人、役者だ。これほどお笑いがたっぷりありながら正統派の芸を提供できる劇団は数少ない。 しか…

『月光町月光丁目三日月番地』を書いた唐十郎は舞台に立つ詩人

唐十郎・作『月光町月光丁目三日月番地』(1964年) 2016年9月15日ー19日 大阪 船場サザンシアター 演出:当麻英始 出演:織田拓己(男:患者)、白亜(女:看護婦、唐的には「看護師」ではまずいと思う)

劇団花吹雪、怒濤の進撃 千秋楽前日

H28.09.28、新開地劇場 お芝居外題『踏切番』 松竹新喜劇風現代劇を下地に京之介座長大活躍でお笑いをたっぷり加味。 両座長がペアで踏切番を勤める。ある日先輩格の踏切番(春之丞)が列車飛込み自殺をはかった婦人を間一髪のところで救助する。その後事情…

劇団花吹雪 模倣(パクリ)の才は創造力

2016年9月26日 神戸 新開地劇場 特別パクリ狂言『龍馬と近藤と沖田と時々ゴルフ』(特別出演:伍代孝雄) 物語のベースは落語家桂三枝(現・6代目桂文枝)の創作落語『ゴルフ夜明け前』(1980年代はじめ、youtubeで視聴可能)。幕末の鎖国と開国の国家政策…

一竜座 「風月光志まつり」H28年9月ーGood job!

歴史好きだという風月光志が構成・演出・主演した『岡田以蔵物語ー izo-K』( K はKoji 光志?とすれば光志版・岡田以蔵物語)は荒削りながらも見応えがあった。 「人斬り以蔵」こと岡田以蔵(1838-1865)は幕末という動乱の時代に30年たらずという短い生涯…

『超高速!参勤交代』ー 権威は空虚であることが肝腎

本木克英・監督、土橋章宏・脚本『超高速!参勤交代』(2014年) 続編=『超高速!参勤交代 リターンズ』(2016年) ーーーーー 猿之助が演じる「八代将軍吉宗」は「エア充」感満載 最近『超高速!参勤交代』(2014年)の続編『超高速!参勤交代 リターンズ…

2016年9月一竜座 気迫が感じられない

9月14日 久しぶりに大阪にもどってきている一竜座。月初めに一度見て、それから10日ほどして今日が2度目。前回は期待していただけに劇団の活気のなさに驚いた。今日は「座長祭」だからきっと本来の魅力をとりもどしているだろうと堺 東羅い舞座に着くまで心…

鴨リンピック 2016

『青木さん家の奥さん II (つう) 』 作・内藤裕敬 、演出・荒谷清水 出演・鴨鈴女、水嶋カンナ、藤田記子、橘花梨(年齢順) 8月25日ー28日、大阪心斎橋「ウィングフィールド」

「戟党市川富美雄一座」に期待する

2016年8月、大阪市大正区にある「笑楽座」で公演中。 8月11日久しぶりに笑楽座を訪れ初めて見る戟党市川富美雄一座を観劇。当日は(後で考えると)ゲスト(下町かぶき組劇団一家の)岬寛太座長のおかげでほぼ満席だった。私の経験では桟敷席にまでお客が入る…

狂言(茂山一門)がこんなに生き生きしているとは知らなかった

先月見た「花形狂言2016『おそれいります、シェイクスピアさん』」のおかげで狂言が能の添え物という偏見を払拭できた。 そこで先日8月6、7日の二日にわたって大槻能楽堂(大阪)で久しぶりに同じメンバーにベテランが加わった狂言公演『納涼 茂山狂言祭』を…

知らなかった!若手狂言方がこんなに才気煥発とは

花形狂言『おそれいります、シェイクスピアさん』 2016年7月18日、兵庫県立芸術文化センター ここ数年歌舞伎界の若手(20ー30代)の活躍ぶりは目を見張らせるものがあると常々思っている。が、伝統芸能のひとつ狂言界も若手(30ちょいからアラフォー)が意気…

少年の神話的偉業

ジャ・ジャンクー 監督最新作『山河ノスタルジア』(原題『山河故人』)は歴史的時間を超越している

ただし題名が「悠久不変の自然こそわが旧友(故人=旧友)」だという意味らしい『山河故人』なのだからというのではない。悠久の歴史を誇る中国という俗説にのっかって歴史の超越うんぬんというのとは違う意味だ。私にはこの映画を通して歴史が展開する現実…

Kabuki in the 21st century: A new form of theater language being born

「劇団 悠」快進撃

メンバーが入れ替わってもパワーが下がるどころか逆に向上している。うれしい! 去る3月末頃このブログで高橋茂紀と嵐山錦之助が一時的にせよ抜けるとせっかく盛り上がってきた集団のパワーが弱体化すると書いてしまった。これは杞憂にすぎなかった。前言撤…

劇団「時遊」は精神的に即刻自立すべき — 人(Waka-maru)頼みは自滅をまねく

2016年4月、大阪十三「遊楽館」 「時遊」は3年前の大阪公演(梅南座、名生座)で見て以来久しぶりだ。劇団「絆」(錦 蓮座長)と合同公演だった。口上挨拶が楽しかったことが記憶に残る。ようやく近くに来たのだから行ってみる気になった。 4月9日(土)『…

間断なく流動する時空間の万華鏡 ー 劇団 新感線『乱鶯』

観劇:2016年3月26日、新橋演舞場 長年日本の現代演劇の最前線を走りつづける「新感線」だが、私の場合今回が初めての観劇体験だ。ただ、新感線を代表するいのうえ ひでのり(演出)と中島かずき(脚本)がかれらの異才を発揮した歌舞伎NEXT『阿弖流為』(20…

大衆演劇界はいまだにmorally blindなのか!(2016年4月 明石)

兵庫県明石市にある「ほんまち三白(みはく)館」は創立ごわずか半年。だが地元商店街などが中心になって立ち上げたNPOが運営しているだけあって劇場内に気が充実している感じがする。 先月(3月)は下町かぶき組傘下の「岬一家」が公演していたが、なんどか…

なおと(20歳)、錦之助(21歳) & さおり(22歳) 合同誕生日公演

2016年3月23日、弁天座(奈良県大和高田市) 今日は芝居も舞踊もなおと、嵐山錦之助 & 和 [ かず] さおりが中心。演目すべてが「さわやか!」の一語に尽きる。 芝居の外題は『吉良常』だが、尾崎士郎(1898ー1964年)原作の大河小説『人生劇場』からひとりの…

芸人たちの幕末・再訪 ー もう一つの若き獅子像

別記事で紹介した「帝国日本一座」には数人の十歳前後のこどもが加わっていた。これら少年、少女たちの姿をうかがわせる資料は成人座員の比べてきわめて少ないようだ。これまで私が素人流に読みあさったかぎり数葉の写真と名前がところどころ出てくる程度で…

幕末動乱のただ中に海外遠征に出かけた軽業芸人たちの心意気

徳川幕府がしいた鎖国政策のため国際政治の場では孤立を貫いていた日本だが、19世紀に入ると200年あまりつづいた幕藩体制の矛盾が吹き出し始める。武士階級など知識人ばかりでなく一般庶民のあいだにもほとんど無意識のうちに変革を求める気運が高まる。19世…

下町かぶき組本部(本社)の座員入れ替え政策に疑問符?

下町かぶき組はその傘下に複数の劇団をかかえている。中でも「劇団悠」が最近メキメキと実力をあげ大衆演劇界に新風を吹きこんでいる。これが客観的事実だ。だからといって「劇団悠」だけが存在意義があるといいたのではない。私としては下町かぶき組全体が…

劇団 「岬 一家」特別公演(明石 三白館)

特別ゲスト駿河染次郎の歌唱を含む 顔見せショーの後、歌舞伎や大衆演劇でおなじみの芝居、『文七元結』がつづく。庶民の悲哀と喜びを綴った典型的な人情劇だが、こんな気は意図的に笑いの風味を盛り込んでいる。だが、私見ではあるが、コメディ性が中途半端…

駿河染次郎さん、明石 三白館で小咄を披露(2016年3月14日)

昨日、13日(日)弁天座の舞台に立っていた駿河染次郎。今日は弁天座の休館日を利用して明石に出張とは。幸運なことに三白館でもお得意の芸を楽しませてもらった。しかも得意の歌(ジュリーの『勝手にしやがれ』)だけでなく、噺家としての芸も堪能できた。…