山田太一原作ラジオドラマ 『飛ぶ夢をしばらく見ない』

 

別サイトに投稿した文章です。

〜〜〜〜〜〜〜

最近YouTubeで見つけたラジオドラマ 『飛ぶ夢をしばらく見ない』にハマってしまった。人気があるらしく過去10年で10万回も再生されている。原作を知らないまま聴いたが、老女が段階を経て幼女に変身するという設定がまずあり、さらに中年男が彼女と恋愛関係を結ぶというのも好奇心をそそる。

男である自分が言うのもなんだが、この場合の好奇心は男の視点が色濃いような気がする。だが、脚色は(劇作家や漫画原作者としても活躍する)作家岡本螢という女性だ。映画監督須川栄三が自ら脚色した映画版もあり、これに対するコメントをネットで見かけたが、おそらく女性と思えるその発言者によると、作品自体は楽しめるとはしながらも主人公の一人である中年男の言動が(好色漢じみていて?)やや気色悪いと感じたとか。ラジオドラマを聴いた者からするとこれはもっともな感覚ではある。

「真夏の狂言大作戦2022」切れ味不十分では?

兵庫県立芸文センターで久しぶりに茂山狂言を見せてもらった。

会場は満員。

平均年齢が異様に高い。狂言が普及するには年齢層のバラツキが望ましいと思えるので今回の状況は歓迎すべきことなのかどうか・・・。

中・高校生あたりがもっと来ていればいいのに。でもワンコインでは入場できないしな〜。

 

開幕は茂山逸平さんの軽妙なおしゃべり。観客の気持ちをほぐし狂言の世界へ誘うガイド役。

最初の演目はオーソドックスに「棒縛」。日頃主人に奉仕する太郎・次郎冠者が悪智慧を働かせて悪戯に興じる。主従の逆転、反抗という政治的暗喩などとは無関係の次元で日頃溜め込んだ鬱憤を晴らそうと従者がガス抜きをしているのだろう。演者たちの手慣れた演技で笑いが巻き起こった。

休憩の後千之丞さんの手になる新作狂言が2本。ことに最後の狂言は現代の文化・社会現象をコミカルに炙りだしていて会場から笑いを誘っていた。劇中で<ウオッシュレット>を世界に広めて世界的有名企業となったTOTOだが、そのロゴを効果的に使っていた。千之丞さんがロゴをしるした便器の着ぐるみみたいなものをまとっていたのは笑えた。

 

ひとつになることがある。前年度の経験からか茂山一門が高齢者層を意識した観客受けを狙っているように思えた。案の定観客もそういう期待どおりに反応。

でも、私見だが、デイ・ケア・センターにおける慰問公演みたいだった。Cutting-edge Kyogenという謳い文句で狂言界のアバンガードを自称するわりにはユーモア、ギャグが穏やかすぎて笑いの切っ先が鈍いような気がする。

 

茂山一門も演芸の世界を生きているのだから「大衆演劇(旅回り芝居)」のことをご存知だろう。あまたある劇団の中で「都若丸」劇団がコメディーのセンスでは抜群の切れ味を見せる。当然集客力も高い。座長若丸が自ら脚本・演出を担当する。他愛もない笑いと言ってしまえばそれまでだが、笑いのセンスには脱帽だ。

 

是非一度茂山さんたちにも「都若丸」劇団の芝居に触れてほしい。劇団は京阪神ばかりでなく全国を旅して公演を打つので観劇はそう簡単じゃないかもしれない。せめてDVD

を通して笑いの出来栄えをのぞいてほしい。

メル○○などで中古を購入することもできる。

病と老と死を超克する文学的ストイシズム

外部投稿 2022.01.26  https://re-ageing.jp/22798/

。。。。さて話をブルック=ローズにもどそう。彼女は実験的作風の小説家として有名だったらしいが、この本を読むまでその存在すら知らなかった。彼女に興味を覚えた私はネット検索してみて死後6年ほど立った時点で書かれた追悼風エッセイに出くわす。それが、私が今回のエッセイを書くきっかけになったジャン=ミシェル・ラバテJean-Michel Rabaté (米国ペンシルバニア大学英文学・比較文学教授、1949年生まれ)の “Farewell to Christine Brooke-Rose” である(Textual Practice 32-1, 2018)。この文章はwww.tandfonline.comに全文掲載されている。

気分はパリ オペラ座でバレエ鑑賞 

外部投稿

【寄稿E】(5)気分はパリ オペラ座でバレエ鑑賞 遠藤幸英 | 老成学研究所

2022.01.1

パリ・オペラ座バレエシネマ『シンデレラ』(2018年12月公演)

バレエ版『シンデレラ』はC. ペローの童話『サンドリヨン(シンデレラ、灰被り姫)』を基本にした物語である。

だが、今回上映された『シンデレラ』は、1986年以来当時のオペラ座バレエ芸術監督だったルドルフ・ヌレエフによる大胆な構成および振付が定着していて、幸薄い娘がハリウッド映画界でセレブの地位を獲得するという設定になっている。

4年前(今や毀誉褒貶相半ばする)ロシア出身のバレエ・ダンサー、セルゲイ・ポルニンの伝記的ドキュメンタリーをyoutubeで見て以来 にわかバレエ・ファンになったものの、鑑賞経験の少ない私はこの新解釈を知らなかった。

ネット上の「ヌレエフ顕彰サイト」にはヌレエフ自身の発言を引用しながら一種冒険的な解釈が生まれた背景が述べられている。

 

*2022年2月7日現在も全編2時間がyoutubeで公開されている。

https://www.youtube.com/watch?v=H7OAOPRl84I

狂言『武悪』に見る人間関係の倫理

外部投稿

【寄稿E】(4) 狂言『武悪』に見る人間関係の倫理 遠藤幸英 | 老成学研究所re-ageing.jp

2021年12月2日

「武」も「悪」も共に勇猛果敢さを表していた。

ことに<悪>は武士の存在が注目を集めるようになる平安末から鎌倉時代において善悪の対比でいう悪ではなく、死をも恐れない剛勇ぶりを意味したのだ。

だから 例えば 武士藤原景清平景清)は武人としての雄々しさを称賛して <悪七兵衛> という異名をとるほどであった。

中世にあっては <悪党>は 現代の意味とは大いに異なり、倫理的判断とは無関係に中央権力に反抗する強固な武装集団をさした。

外部投稿2本目

【寄稿D】⑵ 親子の絆とは

 2021.06.24

以下書出し部のみ

血縁や婚姻関係を度外視した家庭・家族というあり方は目新しいことでないことは重々承知しているつもりだ。例えば代理、擬似の関係がそうだ。このテーマは大小の集団の知恵を示すものであったり、社会福祉の一環であったりしてきた。

近頃はそういう擬似性を拡大解釈したコンセプトが市民権を得てきたのだろうか。ネット検索すれば、レンタル家族(4時間2万円?)とかレンタル恋人(3時間1万5千円?)など、レンタル・ビジネス化したことがうかがえる。家族が孕む擬似性をヒントに住宅会社が遊びゴコロ?をまじえて役者が素人とコラボする?実験的企画を提示したりする。

「注文住宅を手がける株式会社リガード(本社:東京都国分寺市代表取締役:内藤 智明)は、このたび家族との暮らしを疑似体験できる、世界初のモデルファミリー付きモデルハウスに関して、2019年11月17日(日)“家族の日”に行った体験会の模様を収めたドキュメントムービーを本日12月9日よりWEB上(URL:https://tokyo-chumon.com/model-house)で公開いたします。」