劇団あやめの工夫:舞台と観客の距離を縮める

大衆演劇の「お花(祝儀)」

2019年5月、元号も改まって劇団あやめ公演初日。

先月九条笑楽座での千穐楽が大いに盛り上がったので尼崎三和劇場に公演場所をあらためても大入りだろうと予想。実際人気は衰えなかったどころか満席だった。

 

劇団一小柄な劇団マスコット「ひよこ」さんが鏡獅子のクライマックス「毛振り」を披露。歌舞伎役者に引けをとらない勇壮な獅子の毛振りでありました。ひよこさんが得意とする<小>を<大>に見せる逆転わざが堪能できてよかった。だけど、歌舞伎役者も述懐していたのを聞いたことがあるが、脳震盪を起こしそうになるとか。ひよこさん無理せんといてほしい。

 

さてこの劇団で注目すべきは観客がお花をつけやすい工夫をしていることだ。千円単位で個々の役者さんに対してご祝儀をつけることができる。ドル紙幣か何かを4倍くらいに拡大した物が1枚千円。他にも一つ2千円、3千円の花飾りがある。役者さんはあとで換金できる仕組み。

 

劇団のアナウンスによると「エンブリー」と聞こえる。だけどエンブリーって芳香剤と柔軟剤入りの洗剤のことだけどな。ひよっとしてエンブレムemblem(ブレザーにつけるこってり刺繍のワッペンとか高級車のおしゃれな紋章などある種の権威の象徴)がなまってエンブリーになったのかな。

 

2度目の劇場訪問では「エンプリー」と聞こえた。でも意味わからん。座員さんに尋ねるしかないか。

 

以前別の劇団でも(ハワイ島特有の)「レイ」もどきの一つ千円のお花を見たことがあるので劇団あやめ独自ではないだろう。3、4年前だが、この時は(いや最近まで)お花は5千円単位か1万円単位と思い込んでいたので千円がみすぼらしく思えてしまった記憶がある。

 

しかし考えてみれば5千円って結構大きな出費だ。それが千円単位となれば大分気安くお花をつけられるように思う。

 

とはいえ劇団あやめのように座長はじめ幹部座員にだけ応援の気持ちを表すのではなく6人全員にお花をつけたいと思うとこれまた結構な額になってしまう。となるとその時の懐具合に応じて慎ましく舞台芸を楽しませていただいた謝意を表すしかないかな。