2016-01-01から1年間の記事一覧
『追われゆく女』、3月13日(日)、弁天座(奈良県大和高田市) 人間社会に普遍的といえるほどつきまとう疎外。人間関係から必然的に生じる澱、よどみ。そういうものを一時的にせよ解消するにはだれかを選び出し、その澱をいわば罪として背負わせるしかない…
「劇団 悠」以外の下町かぶき組傘下の劇団は久しぶりだ。しかも岬 寛太座長率いる「岬一家」は私は初めての観劇だった。JR明石・山陽電鉄 明石駅を南へ徒歩わずか5分で(ただし駅から直進できず多少ジグザグする必要があるが、三筋目の通りの南側に見える)…
世界のバレエ界で屈指のベレリーナ、ウリャーナ・ロパートキナ(1973年うまれ)の半生を描く実録映画『ロパートキナ 孤高の白鳥』(2014年)が1月から東京で、3月になってからは大阪で上映中だ。神戸は3月12日から。ネットで見る限りでは全国各地ではなさそ…
3月6日(日)大和高田(奈良県) 先々月(1月)に木川劇場でも見た『瞼の母』。前回同様主人公、番場の忠太郎の生母を演じたのは(劇団の「特別ゲスト」と位置づけられているフリーランスの役者)藤 千之丞。2度目に見て千之丞という役者の存在の大きさを…
竜美獅童、空新夫妻の長男 しおん。年齢は(たしか)3歳と2ヶ月。連日パパかママと相舞踊をこなしている。去年12月の高槻千鳥劇場公演ではしおんが一差し舞うといってもときおり決めポーズを一瞬みせるだけだった。ところが最近は断片的ながらも脈絡が見える…
観客の立場からすると事前にこれから予定されている演目、ことに芝居の外題がわかるとありがたい。予定は未定だということを承知の上でそう思う。劇場内に外題や特別イベントの予定を掲示するのは必須ではないか。そうるすことでリーピーターを確保する効果…
女形の至芸といえば、まず第一にあおい竜也と白龍(ともに一竜座)をあげたい。女形を演じ踊る場合ふたりとも生身の女性と見分けがつかないほどにオンナになりきろうとはしない。たしかに、立役では男っぽさを売りにするかれらがひとたび女形で登場するとそ…
2016年2月6日(土)芝居外題:『唄入り観音経』(大阪 十三・ 木川劇場 ) ご存知のとおり『唄入り観音経』の元ネタは浪曲師 三門 博 (1907-1998) 太平洋戦争会戦前夜の1929年に舞台にかけた作品である。当時の忠君愛国ムードにのって大いに人気を博したそう…
一竜座が大阪にもどってきた。 暖冬のはずが突然厳冬に変わったりした先月は奈良県榛原駅近くのやまと座で公演。気温が激変した1月だったが一座の皆さんお元気そうだ。(私は当初の計画ではやまと座へ少なくとも3回くらい観劇にでかけるつもりが、元日の舞台…
大衆演劇界を過去2年ほど前から現在まで見渡すと自滅の兆候を示す劇団がちらほら現れている。暴力事件で刑事処分を受けた幹部座員のいる劇団もあった。また最近は自分の不甲斐なさから近しい家族の愚行をたしなめもしない座長がいて、なんの責任もない座員…
この小説(原書Bantam Press、2007年、嶋田洋一・翻訳『極北の恐怖』、早川書房、2007年)は<北極残酷物語>とよびたい気がする。下地になっているのは北極探検史上有名な大規模遭難事故である。ただし作中で語られる探検隊員や乗組員たちの言動や思考はす…
『国性爺合戦』は数年前の観劇時にストーリーの複雑さについてゆけず楽しめなかったという苦い思い出がある。今回はその反省と眠り込みを防ぐためにイヤホン・ガイドを利用した。その甲斐あってか、特に後半2時間におよぶ長丁場も緊張感をなくさず堪能でき…
ストーリーは初代 桂文枝の上方落語がもとになっている。この噺家の生没年(1819年ー1874年)からすると江戸時代末期にはネタができあがっていたんだろうか。外題『らくだ』が妙ちきりんではないか。すでにその頃には動物のラクダの見せ物が大きな評判よんで…
最近片岡愛之助は芸能ニュースでもてはやされているが、本職の歌舞伎役者としてまたテレビ界でも大活躍をつづけている。そればかりでなく歌舞伎の新境地を拓く点でも注目を集める。主な演劇的実験の場は(徳島県鳴門市にある)大塚国際美術館システィーナ歌…
15日は特選狂言『喧嘩屋五郎兵衛』。最近あまり上演されなくなったが、かつては大衆演劇の代表的狂言(芝居)の一つだったようだ。 そんな古典物を若さあふれる劇団がどう料理するか興味があった。座長が演じた主人公(渡世人一家、喧嘩屋の親分五郎兵衛)は…
入場料値下げって客に媚び過ぎではないかと心配になってくる。そんなことまでして客寄せしてなんの意味があるのかな。劇団近江飛龍の矜持はどこへいったのかと問いたい。この劇団は系列の(親戚筋の)劇団グループのなかで唯一存在感を発揮してきたのだ。こ…
1月11日(月)木川劇場、昼の部。 今月の「劇団 悠」は連日にわたって(かつてなかったほど)威勢がいい!(おそらく)無意識のうちに大衆演劇の伝統を塗り替えようとしている。これはけっして伝統の否定ではない。長らく一定の枠組のなかに納まりながら変化…
1月8日、浅草界隈は正月気分がほんのちょっぴりだけ残る。しかし木馬館の舞台や(恒例の浅草歌舞伎を公演中の)浅草公会堂はまだまだお正月ムード満点だった。ちなみに銀座にある新橋演舞場(海老蔵、獅童、市川右近による「車引き」、白波五人男」、「七つ…
新年を迎えた劇団 悠は舞台に熱気があふれている。ファンとしてはうれしいかぎりだ。 昨年末大阪「明生座」での2ヶ月間連続公演では集客に苦労していたようだが、この期間は劇団自体にとって次の飛躍に向けた準備の時だったのかもしれない。雌伏の2ヶ月。…
近鉄大阪線榛原駅のすぐそば「やまと座」を初体験。能、歌舞伎、大衆演劇。その形式はどうであれ三番叟はいつ見てもいい。なぜか今回は鈴振りが強く印象に残った。(身体、袖などの衣服ばかりでなく)種々のモノを「振る」行為そのものは(古代以来現在にい…